カクテルの王様”マティーニ”。飲んだことはなくとも、ほとんどの方が名前を聞いたことくらいはあるのではないでしょうか。
その由来は諸説あり、1910年頃、ニューヨークのニッカポッカーホテルで働いていたマティーニという名前のバーテンダーが考案したという説。ジンとスイートベルモット、マラスキーノにオレンジビターを加えて作る”マルティネス”を起源とする説。原型となったカクテルに使用されていたベルモットが、イタリアのマルティーニ・エ・ロッシ社製だったからという説など、明確なことは分かっていません。
初めて”マティーニ”の名が文献に登場したのはハリー・ジョンソン著書のバーテンダーズ・マニュアル第2版(1888年)で、そのレシピはオールドトムジンとベルモットに、シュガーやビターズ、オレンジキュラソーかアブサンを加えるという、今とはまた違ったものでした。
現在に伝わる”マティーニ”はロンドンドライジンとベルモットを合わせるシンプルなレシピが一般的ですが、”マティーニ”と名が付くカクテルは数え切れないほど存在し、ジンもベルモットも使わないレシピのものもあります。この場合は”マティーニ”が”カクテル”とほとんど同じような意味合いで使われているのでしょう。
皆さんはマティーニはお好きですか?私は大好きです。特にジンとベルモットの比率が、通常の4:1〜5:1より辛口な、ドライマティーニを好んでよく飲みます。キリッと冷えたシャープな飲み口、加水されたことで感じられるジンの甘味と、ベルモットのフルーティな風味、そして飲み込んだ後にアルコールと共に鼻に抜けていく香りがたまりません。元々お酒にあまり強くないこともあり、マティーニは勉強でしかほとんど飲まなかったのですが、最近はお休みの日についつい頼んでしまいます。カクテルの味は勿論、しっかり酔えるというオマケも嬉しいものです(笑)。
シンプルなレシピながら広く長きに渡って愛されるカクテルの王様は、きっと多くの人の心を癒してきたのでしょう。お店によって、作り手によって味わいこそ違うものの、その一杯に感じられる重厚感は、王様と呼ぶにふさわしいものがあります。
ちなみに、溝の口店で作るマティーニは、リンススタイルと呼ばれるベルモットを纏わせるだけのエクストラドライなレシピとなっており、一般的なマティーニ以上の飲み応えが感じられるはずです。今風に言えば、このマティーニからしか摂取できない栄養があると思います(笑)。
皆様もぜひ、体調が良くて、ちょっと酔っ払っても問題無い日には、このマティーニをお試しいただければ幸いです。では、また溝の口店でお会いしましょう。