私は自分の家と時代屋を間違えているようである。
駅に着くとつい足がむいてしまう。家にいても足がむいてしまう。
私は決してお酒が好きな訳ではない、と思う。
バーのこの雰囲気が、時代屋の彼らバーテンダーが好きなのだ。
何か聞いてもらいたい時、彼らは黙って聞いてくれる。
悲しいことがあった時、流す黒い涙を注意もせず、見て見ぬふりをしてそっとお酒を差し出してくれる。何事もなかった様に忘れられる魔法の(?)カクテルを...。
そして落ち込んでいる時には、つい笑ってしまう様な言葉で元気づけてくれる。
グラスの中の氷が溶けるように私の心も溶けていったような気がする。ここに来始めた頃は弱っちかった私が、少しずつ強くなってきたように思える。
何故そう思えたかといえば、彼らバーテンダーが発する憎まれ口が愛あふれる言葉に思えてきたからだ。
私のこの激動の数ヶ月を見守らざるをえなかった彼らバーテンダーに感謝!
バーとはお酒を飲む場所とだけ思っていた私の観念がここで変わった。
バーとは人と人とのつながり、心安らぐ楽園天国と思うようになった。
それを教えてくれたのが時代屋であり、彼らバーテンダーである。
私はこれからも迷惑をかけ続けるつもりである。