前日の営業終了後、そのまま準備をして来ていたので、見学前に近くにあるログハウスのカフェ、「レコパンドゥカンパーニュ」さんで軽食を済ませました。温かい雰囲気の店内で、手作りの料理もとても美味しかったので、蒸留所見学の際は是非ご一緒にいかがでしょうか。
蒸留所見学の内容の前に、「宮城峡」を飲まれたことがない方もいらっしゃると思いますので、簡単にご説明を。
ニッカウイスキーの創業者 “竹鶴 政孝” は、「異なる蒸留所の原酒をブレンドすることで、ウイスキーはより味わい深く豊かになる」と考えていました。そして、余市に次ぐ第二の蒸留所の建設に選ばれたのが、仙台にある宮城峡になります。
新川と広瀬川、二つの清流が合流するこの土地は、一年を通じて霧が立ち込め、ウイスキーの熟成に適した気候を作り出します。竹鶴氏は新川の清流でブラックニッカを割って飲み、その場で蒸留所建設を決めたそうです。
宮城峡、その味わいは軽やかで華やか。スコットランドのローランド地方で作られるウイスキーに近く、力強く重厚な余市とは対照的な酒質を持っています。この二つのモルトウイスキーの違いが、ニッカの作り出すブレンデッドウイスキーに奥行きを与えていると言えるでしょう。
<hr>
ガイドの方に案内され、始めに見せていただいたのが、こちらの乾燥塔(キルン塔)。
キルン塔
発芽した大麦をピートで燻しながら、麦芽を作るための建物です。現在は使われていませんが、蒸留所のシンボルとして残しているようです。
その横にあるのが、乾燥した麦芽を貯蔵するサイロになります。
そのサイズ感には圧倒されました。1本当たり18トンの麦芽を貯蔵することができるようです。手前の運搬パイプから仕込棟へと送られていきます。
仕込み棟では、蒸留する前の糖化・醗酵が行われます。マッシュタンと呼ばれる糖化槽で麦汁がつくられ、約72時間かけて醗酵をするともろみができます。
今は仕込みから蒸留までコンピュータにより管理しているようで、写真は撮影できませんでしたが、何台ものモニターが並んでいる制御室がありました。ウイスキー作りというと昔ながらの職人作業が想像されますが、それだけではなく現代の技術も駆使されているのを目の当たりにしました。
蒸留棟に送られたもろみは、ポットスチルと呼ばれる単式蒸留器で2回蒸留されます。
こちらでは、余市の蒸留器との違いを説明してくださりました。ポットスチルの形は、余市がストレートヘッド型、宮城峡がバルジ型。ラインアームの向きは、余市が下向き、宮城峡が上向き。加熱方法は、余市が石炭による直火加熱、宮城峡が蒸気による間接加熱とのことで、アルコール以外の成分を多く含みながら作られる余市と、できるだけ不純物を含まないように作られる宮城峡。ハイランドタイプ、ローランドタイプを目指した合理的な作り分けに納得しました。
奥には去年できたばかりの新しい貯蔵庫が見えました。写真では分かりづらいですが、かなりの大きさのようで今後の原酒不足の解消が期待されます。
新しいところとは違いますが、貯蔵庫の中はこのような感じ。
ウイスキーの匂いで充満している!かと思いきやそうでもありませんでした。ただ外とは違うひんやりと湿った空間は、熟成に適した環境なのだと感じさせます。
それから無料試飲、有料試飲を済ませ、それぞれお土産用にウイスキーを購入。今は蒸留所限定ボトルも小さいサイズのものしかなく、一人一本までとのことでした。それぞれお店用に購入したので、興味のある方は是非お試しください!蒸留所を出て、1時間に1本しかない電車を目指して、みんなで走ったのは良い思い出です。
(お気付きの方もいらっしゃるかと思いますが、宮城峡蒸留所における超重要な建物、連続式蒸留棟は、すいません、撮り忘れました!汗 消防法の関係で中を見ることはできなかったので、気になる方は写真をお探しください…)
仙台に戻って皆で夕食を取ったのは、仙台駅前にある懐石料理のお店、”華の縁“さん。ホテルに戻って一休みのはずが、ついつい寝てしまい私は遅刻してしまいました汗 しかし飲み放題のコースで出たハイボールの銘柄をズバリと飲み当て、後輩からの信頼を取り戻しました!
美しい盛り付けから和食の繊細な味わいまで、一品一品にこだわりを感じさせる素晴らしい料理でした。日本酒もほどほどに飲み、早速仙台の夜を満喫していました。
この日、私が回ったバーは3軒。特に印象深かったのは”Andy“さんで、バーテンダーさんのこちらに寄り添ってくれるような接客に心温まりました。ボトラーズを含めた数多くのウイスキーが並び、それらがリーズナブルな金額で頂けるのも嬉しいポイントです。ミルトンダフの34年は今まで飲んだどのウイスキーとも違う新しい味わいで、上質なグラッパのようなマスカットやピーチのフルーツ香が特徴的でした。
翌日は昼頃からのスタート。まず始めに向かったのは仙台駅中にある牛たん通りの”たんや 善治郎”さん。仙台に来て牛タンを食べないわけにはいかない!と良さげな評判のこちらにお邪魔しました。頼んだのは善治郎定食で、何と牛たん塩焼き、牛たんつくね、牛たんソーセージ、ゆでたんが楽しめます。追加で牛たん水餃子も頼んでしまいました。
ランチに4千円使う贅沢は、旅行先でもなければできませんね!(笑)宮城峡のプレミアムハイボールは氷を入れない作り方でした。どれもとても美味しかったのですが、食べすぎて夜まで苦しかったです(笑)
澄んだ空気と紅葉に囲まれた露天風呂。心置きなくのんびりと過ごすこの時間は、何と贅沢なものでしょう…。残念ながら私のサービスショットはありませんが、皆様、是非仙台に行かれた際には温泉もお楽しみください。
調べたところ、近くで「AKIULUMINA」というイベントをやっていました。秋保温泉街を光とアート、グルメで彩っているそうです。たくさんの秋保石で構成された美しい日本庭園とライトアップされた夜のもみじを楽しめるとのことで、何気なしに天守閣自然公園で行われている”光のもり”へ向かいました。これが想像していた以上に物凄く綺麗で、大友、衝撃を受けます。
いや、本当に綺麗でした。まさしく幻想的な風景、日常生活では見ることのない景色がそこにありました。辺りを見渡せばカップルばかりなのも頷けます。これは確かに盛り上がるでしょう。デートスポットにもオススメです。私は一人で、十分に楽しみました。
ただ、この綺麗な世界を誰かと共有できれば、また違う思い出になったのかもしれません。ふと色々なことを思い出してしまいました。
仙台市内に戻ってからは、お客様に勧めていただいた”白雪”さんで軽く夕食を済ませ、またバーを3軒巡りました。
この日、印象に残ったのは”アンダンテ”さん。カウンターのみのバーで、モルトも豊富にカクテルも力を入れているようです。ソサエティのウイスキーが多く、私の気分に合わせて勧めていただきました。伺った際には席も埋まっており少々忙しそうでしたが、それでも常々気を遣ってくださったのが嬉しかったです。ウイスキーの話からフルーツカクテルの話まで参考になりました。最後に頂いた扱いが難しいとされる柿のカクテルも、アルコール感、フルーツ感、甘味のバランスが取れた素晴らしい仕上がりでした。
次の日の帰りの新幹線が早かったので、この日は程々に済ませました。
まだまだ巡れなかったバーもあるので(仙台はバーが多い!)、次回リベンジしたいと思います。
仙台の夜を2日間楽しみ、充実した研修旅行となりました。お伝えしたい魅力が多く、長くなってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございます。新しく培った経験と共に、研修を活かし、今後もくつろいでいただけるバー作りを目指していきます。それでは皆様、溝の口店にてお待ちしております!」
大友