オールドオーク - たまプラーザ店 -

◆お腹も満腹っ! いざ蒸留所へ

受付で見学の手続きをするとバスガイド風の制服を着た受付嬢が

『それではっ!ご案内します』

とガイドをしてくれるではないか。

ただこちらの気分とは打って変わって急に空模様が…。飛行機・汽車と乗っている時は晴天そのものだったのに。

実は僕自身、雨男なので仕方が無いと思ったが見学の時に限って降る事が無いようにと思いつつ見学開始。

しかし、しか〜し、謀ったように建物に入ると雨はやみ、外に出ると降る。それが何回も続くとさすがに受付嬢が

『傘をご用意いたしますので、ここで見学していてください』

と言って一番奥にあるオーク樽の製造棟から受付まで取りに行ってしまったのだが、内心僕は、「また笑いの神がふってくるのでは」と思っていた。案の定、受付嬢がずぶ濡れになりながらハァーハァー息を切らして傘を持ってきてくださった心を無残に打ち砕くかの如く空からスポットライトの様な神々しい日差しが!?

受付嬢、『やんじゃいましたね♪』 と苦笑い!!

のぉぉぉおおおっ!! 神様っ! 神様っ!! なんてあなたは無情なっ。いけないのは僕です。僕に裁きをっ!

んっ!? いやっ!?
僕じゃなく市川キタさんに裁きをっ!!!

受付から、まず第一乾燥棟。原料である大麦を発芽させた大麦麦芽(モルト)をキルン塔で泥炭(ピート)を燃やし麦芽乾燥させる場所で、現在は使用されていません。見学時は使用されていなかったのにも関わらず、かなり芳醇なスモーキーな香が充満してました。

次に第二乾燥棟を越え、糖化棟及び粉砕棟。麦芽を粉砕した後に温水を加え、でんぷんの力を借りて甘い麦汁にする為の場所です。ここは外観の煉瓦造りと近代設備を巧みに併せ持たせた場所で、隣の醗酵棟と連なっている為と思われるけれど、甘〜い香が漂っていました。

次に醗酵棟。麦汁に酵母を加え醗酵させてアルコールをつくる場所です。ステンレスタンクが連なっていました。温度管理が徹底されている密室です。

そして写真にもある蒸留棟。ここで写真に写っているポットスチルを使ってアルコールを取り出します。二回の蒸留を行ないます。

締め縄が写っているところが、なんとも西洋文化と東洋文化の融合、和洋折衷です。

そして旧事務所を経て製樽棟。ウイスキーを熟成させる為の樽を製造する場所です。樽内側を焼いたり(チャー)補修も行ないます。

ここで土砂降りにあった訳ですが、匠の技をじっくり見学する事が出来、感動しました。

そしてリタハウス・旧竹鶴邸を経て第一号貯蔵庫。

蒸留されたウイスキーは無色透明なものですが、それを樽熟成させる事で段々と琥珀色へと色づき、香も豊かになるのです。

 

 

その樽を保管する場所ですが、空気が違うというか、去年訪ねた山崎蒸留所とは全然違う印象を受けました。言葉に出来ない何かを感じました。

一連の見学を終えた僕達は応接室に案内されました。第一応接室のテーブルにはテイスティング用のお酒が並べられており、すぐにPR部 部長の村瀬さんが現われお互い簡単な挨拶をすませると、早速テイスティングがはじまりました。試したのは次のもの。

・余市未貯蔵

・シングルカスク余市10年

・シングルカスク余市25年

・シェリー&スイート

・ウッディ&バニリック

・フルーティ&リッチ

・ピーティー&ソルティー

・ソフト&ドライ

・シェリー&スィート20年

・ウッディ&バニリック20年

一つ一つ丹念に飲んだ訳ですが、後半に入るとカスクを飲んでいるので少しいい気分。モルトウイスキーコンパニオンの著者マイケル・ジャクソン氏は、余市蒸留所を訪れた際テイスティングに二日間を掛けたらしいのですが、何やらその理由が分かった気がしました。時間に追われ、更にアルコール度数の高いカスクを飲むには一日では足りないと思いました。ただ我々に許されたのは数時間のみ。限られた時間ではありましたが大変有意義な時間を過ごせましたし、大変勉強になりました。

僕らは一通り飲み終えたところで村瀬さんが、

『普段一般見学者に開放していない樽貯蔵庫を見ていただきましょう』

と願ってもないお話。もう少し試飲したいと後ろ髪をひかれる気がしつつも僕らは第一応接室を出たのでした。

◆特別見学

まず普段一般見学者には開放されていない貯蔵庫へ。そこには体験モルトウイスキー造りで作られた熟成中の樽がありました。これは応募して抽選にあたると二日間ウイスキー造りを体験出来、更にそこで作ったウイスキーを十年熟成させた後に瓶詰されて送られてくるというものです。つまり体験ウイスキー作りから十年後に飲むことが出来る訳ですが、十歳の子供と父親が参加をして、「成人したら一緒に飲む」みたいな方が多く参加していらっしゃるという事でした。

どうです?応募してみては?

な〜んて聞かれたのですが、何せヤジさんキタさん共に独身。「まずは恋人つくりからはじめてみます」 とお互い苦笑い。

更に奥の方の樽には芸能人の樽が。中村雅俊、木梨ノリタケ、etc・・・

一応昆布ぽんずのおじさん中尾彰の樽をパチリ。一樽丸々なんてウラヤマシイ。

だいたいはテレビ番組の企画やらでスポンサーが付いているかららしいのですが、まぁ〜庶民の我々には宝くじでも当たらない限り無縁のマイ樽です。

貯蔵庫特別見学後は所内のあちらこちらを、「例えばあの建物は何の撮影で使われた」とか、「○○のCMで使われているのはそこです」みたいに懇切丁寧に案内され僕らはご満悦♪

この時、天気は先程の雨が嘘のように晴天。こんなもんかと思った次第で!

その後村瀬氏が

『まだお時間ありますよねぇ〜よければ鮭でも見に行きませんか?鮭の遡上を見た事ありますか?今が丁度ピークなので、宜しければ今から車を出してご案内しますよ』との事。

願ってもないお話である(ちびまる子風)。

『よろしいんですか?甘えても?』

『全然平気ですよ。なかなか北海道には来られないと思いますから。』

といいながらスタスタ先へ

そして我々は一路、仕込み水にも使われている余市川へ向かったのでした。

◆ニッカウィスキー様、村瀬様、感謝です。鮭の大群に大自然を感じる。

わざわざ車を出して頂いての観光。車が発車する直前、僕はボスに店(オールドオーク)用に買っていく品を確認する為に電話をしたのですが、繋がらず、留守番電話にメッセージを残しました。

その頃、東京では試飲会が行なわれており、ボスは試飲会会場に従業員の小松崎氏と行くことを僕は知っていました。「たぶん忙しいんだろう」と折り返しの連絡を待つことに。そして、丁度余市川へと向かう車に乗り込み、発車直後にボスからのコールバックがありました。

私 『もしもし、お疲れ様です寺内ですが』

ボス 『お疲れぇ〜っ。 で、どうよ!』

私 『試飲と見学が終わりました。店に買う品の確認なんですが。今はまだ買えませんが』

ボス 『あぁ〜っで今はどの辺?品物は?』

私 『今はちょっと……蒸留所には……』

ボス 『っで、何処にいるのよ?』

私 『車の中なんですが……』

ボス 『なんで車の中にいるのよ?』

私 『実は鮭が産卵の為余市川上流にたくさん遡上しているので、見た事なければ案内してくれると...』

ボス 『なんだよっVIP待遇じゃねぇ〜か!!俺が行った時は、ンなのなかったぞぉ〜』

(車内は静かなので、ボスの大きな声は皆様に丸聞き)

私 『すいません(小声)ボス、余市の皆さんに聞こえてますからぁ〜』

この時すでに車内は爆笑の渦

ボス 『売店に着いたらまた電話して』

私 『了解っ!!』

と電話を切った訳ですが、冷や汗たらたらだったのは言うまでもありません

僕はいつもタイミング悪いんだよな、そうゆう星の下に生まれているのかもしれない、とややブルーになりつつも、気を取り直し僕らは遡上の真っ只中の余市川上流へ。そこは捕獲の為に川を堰き止めているのですが、なにより鮭の数が凄い。

堰き止められた先のケージにはかなりの数の鮭が中に入っており、とび跳ねて更に先に行こうとするものの、鉄の柵ではそれも適わず。

よく見ると、ケージの周囲にはオレンジ色が無数に。

実はここでケージ内の鮭を捌くらしいのだが、その時にでるイクラが乾燥してオレンジ色に光っているのだとか。

う〜ん、だから余市のイクラ丼は安いんだっ♪な〜んて思ったりして。

しかし目の前に生きた鮭、しかも天然のを見る事なんてなかなか出来るものじゃないし、貴重な体験が出来たと思いました。大自然を感じた出来事でした。

帰り間際には鮭を回収する業者がきたので、これは大量の鮭があがるのを見る事が出来ると楽しみにして見ていたのですが、業者の人たちがトラックのクレーンでケージを持ち上げようと作業してる時、皆さんの中でひときわ貫禄のある一番年配の親方風の人がケージの上に登りながら、『あぁぁ…か、鍵忘れたぁ〜!!』 の一言

ずこっ!! ここでも笑いの神様は降臨なさる。 イクラだけにイクラなんでもっ!!

うぉぉぉおおお。 和田勉降臨!!

それはさておき、作業をしないようなので、スゴスゴと僕らは撤収しました。

ちなみに、この場所はテレビ番組で放映されたらしくタクシーに乗って見学に来ていた観光客が二組いました。

余市観光に来られた方は地元の人に聞いてみるといいと思います。

その後、余市蒸留所に戻った僕らはお酒を購入すべく売店へとイソイソ。

売店で僕はボスに電話をした訳ですが、ボス達は試飲会場真っ只中で、なかなかうまく電話のやり取りが出来ませんでした。ボスが若干イライラしてきた時の電話を抜粋

ボス 『原酒のアップルブランデーがあれば買ってきて』

(ここは冗談でも言ってと思い)

私 『大変です!ボス!!ハイランドパークがあります!!アップルブランデーは無いですが購入しますか?』

ボス(なにやら誰かと話してるようで小声が聞こえ)『駄目だ…こいつ酔っ払ってるよ』っと急に小松崎氏にチェンジ。

小松崎氏『ボスはアップルブランデーとピーティーなんとかを買ってくればいいって言ってるよ』

『アップルブランデーは完売でピーティー&ソルティーは購入済みっす!』

『のわっ!グレンタレットがあります隊長!!購入しますか??』

小松崎氏 『…………』(ボスに話してるようで) 『なんとかタレットとかぬかしてますよ。』

ボス 『もういいから切っちゃえ!!』

ボス・小松崎氏 『ツー・ツー・ツー』

うっ 切れてしまった。

まぁ〜なんやかんやで売店・原酒直売場を行ったり来たりしつつ、一時間程を掛けて無事購入。この時点で、既に柿崎商店で購入したおみやげ等を含めて片手以上の出費。

札幌行きの汽車の時間を確認し、余市のセブンイレブンへ。

その際単線の長く続く線路をパチリっ!!レールに耳をつけ、いやつけないで

『汽車がくるぞぉぉおお!!』

う〜ん……ちょっと酔ってていい気分♪

とにかくホテルにチェックインするべく札幌へ。

これから二時間か....

小樽発、特急札幌行きに乗った市川キタさん御一行様は各々空いている席に座りしばしの睡眠。

途中駅で僕は札幌と勘違いし、飛び起きてホームに降りてしまい、車中に居た市川キタさんと目が合って、あわてて電車に駆け戻るというアクシデントがありましたが、なんとか無事札幌着。

それから二時間位でホテルにチェックイン。シャワーを先に浴びたいと思いつつも、せっつく胃袋にせがまれ荷物を置くと直ぐにサッポロビール園へ。二人だけの大宴会のはじまりです。

ちなみにホテルはすすきのの外れなんで、夜のフットワークが軽くなる場所。ホテルも安いツアーの割りにはツインでバスルームも広く快適♪ 当然匂いがかなり付く事は必然的なので、服装も匂いが付いても問題ないのを着込んでいるという万端の用意が整っていました。

この時、前日に寝たのは小樽から札幌に至る汽車の中だけであり、若干のスタミナ不足が懸念されていたのではありますが、寝不足気味とはいいつつもナチュラル・ハイテンションが思考能力をかき乱してくれていた為に後先考えずにいたのですが、この夜のジンギスカンが次の日に響く事になるとは思ってもいなかったのでした。

 

ホテルに戻りジンギスカンで燻された体をシャワーで清めた我々は、札幌の夜の街に繰り出すべく着替えをすませると、一服をした後またまた出陣しました。


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